第14章:生徒の目標設定がうまくいかない理由|「決める」だけで終わらせない教育コーチング

いつもご覧いただきありがとうございます。
コーチングですべての中高生に選択肢を与える会社、合同会社ドドド代表の沖津です。
学習塾経営をしながら、全国の学習塾の講師や学校の教員の方々を対象に、コーチング研修をしています。
コーチングの勉強をしていると、「目標設定」について学ぶ機会が多くあります。しかし、教育コーチングにおいては、「目標達成」についてのスキルが大切です。目標設定から目標達成までのスキルを紹介します

この記事で分かること
・3種類の目標
・「目標」という言葉を使わない目標設定
・理由と目的の違い
・目標達成をひと押しする一声

「次のテストの目標は?」
「80点です」
「じゃあ80点目指して頑張ろうね」

塾では、こんな会話がよくあると思います。

一見すると、きちんと目標設定ができているように見えます。

でも、次の面談で、
「80点取るために何をした?」と聞くと、
「特に……」となることがあります。

これは、生徒にやる気がないからでしょうか。

必ずしもそうではありません。

目標そのものは決まっていても、
「なぜ達成したいのか」
「何をすれば達成できるのか」
「いつ、どこで、どのくらいやるのか」
までつながっていないことが大きな原因である可能性が高いです。

目標は、決めただけでは行動になりません。

教育コーチングでは、
目標を決めるところから、実際に行動し、達成するところまで
を1つの流れとして考えます。

つまり、目標設定のスキルだけではなく、目標達成のスキルを1つの流れとして考えて生徒のサポートを行います。

目次

目標は「ゴール」ではなく、ゴールまでの道しるべ

合同会社ドドドの研修では、目標を「ゴールまでのマイルストーン」としています。

つまり、目標そのものが最終地点とは限りません。

例えば、
「第一志望の高校に合格する」
という目標があったとします。

では、なぜその高校に行きたいのでしょうか。
「入りたい部活動がある」
「大学進学につなげたい」
「高校生活を楽しみたい」

その先に、本当に実現したい状態があります。

だから、
「○○高校に合格する」という目標だけを見るのではなく、
「合格してどうなりたいのか」まで考えます。

目標を達成したあとの状態を、映像としてイメージできるくらい具体的にすることで、
達成しやすい状況をつくります。

生徒にとって魅力のある未来が見えているからこそ、今の行動にも意味が生まれます。

生徒の特性や性質によっては難しいかもしれません。
ですが、時間をかけてコーチングを継続していくと、どの生徒でも魅力のある未来を見ることができるようになります。

目標を、3つの種類に分けて考える

目標は1種類ではありません。

「行動目標」
「結果目標」
「状態目標」

の3つの種類があります。

例えば、定期テストを考えてみます。
行動目標は、
「毎日英単語を50個覚える」
「ワークを2周する」
など、実際にやることです。

結果目標は、
「次の英語のテストで80点を取る」
です。

そして状態目標は、
「英語に自信を持って高校生活を送る」
「勉強が苦にならないくらい力をつける」
といった、その先になりたい姿です。

この3つはバラバラではありません。

行動する。
結果が出る。
その結果によって、なりたい状態へ近づく。
この線がつながっていることが重要です。

ただし、中高生にいきなり、
「将来どうなりたい?」
と聞いても答えられないことがあります。

本来は状態目標を出してから結果目標、行動目標と出していくのが理想的です。
しかし中高生は大人に比べて、持っている経験や情報が少ないため、
状態目標を無理に引き出さず、まず結果目標から考えることが必要な場合が多いです。

「目標」という言葉を使わない目標設定

では、どのように目標設定をするのが生徒のためになるのか。


「目標を決めよう」
と言われただけで、少し面倒に感じる生徒もいます。

合同会社ドドドでは、中高生に対して独自アンケートを行いました。
アンケートの内容はこうです。

あなたの担任の先生に、「夏休みの目標を書きましょう」と言われたとします。
どのような感情になりますか。以下の10個から、最も当てはまるものを選んでください。
1.ワクワク 2.不安 3・楽しい 4.困惑
5.嬉しい 6.心配 7.希望にあふれる
8.面倒 9.興味深い 10.イライラ 11.無感情

このアンケートの結果、
67%の中高生が、ネガティブな感情(不安、困惑、面倒など)になると回答しました。

アンケートに協力してくれた中高生に、さらに詳しく聞くと、
「目標」と聞くとウワッと思う。という方がいたり、
目標を立てさせられる感覚があるという方が多くいました。

つまり、「目標」という言葉に、いい印象を持っていない中高生も多くいるようです。

そのため、
「目標は何?」という質問を避けて目標を引き出すことが、生徒の本当の目標を引き出すことに繋がります。

例えば、
「次のテスト、何点取れたら嬉しい?」
「模試でどのくらいだったら、結果見て嬉しい?」
「どの高校でも入れるなら、どこに行ってみたい?」
と聞く。

言葉を変えるだけで、答えやすくなることがあります。

大切なのは、
「目標設定という作業をすること」ではありません。

本人が、
「こうなったら嬉しい」
と思えるものを見つけることです。

結果目標が出たら「理由」より、「目的」を聞く

例えば、生徒が、
「次のテストで80点取りたい」
と言ったとします。

ここで、
「なんで80点取りたいの?」
と聞くこともできます。

そうすると生徒は、
「親に言われたから」
「前回点数が低かったから」
のような、理由を話すかもしれません。

このような理由ではなく、その目標を達成する「目的」を引き出したいです。

例えば、
「自信をつけたい」
「第一志望に近づきたい」
のような、その先に到達したい状態です。

だから、
「80点取れたら、どうなる?」
「それを達成したら、何が嬉しい?」
と聞いてみる。

すると、
「自分でも英語できるって思えるかも」
という答えが出ることがあります。

これが、その生徒にとっての状態目標になっていきます。
数字だけだった目標に、本人なりの意味が生まれます。

目標を決めたら「何をするか」を3つ出す

結果目標を決めても、行動が決まっていなければ何も変わりません。

そこで、
「80点取るために何ができそう?」
と聞きます。

例えば、
「単語を覚える」と出たとします。

そして1つ出たところで止めず、
「他には?」と水平質問を使います。

生徒から、
「ワークを解く」
「間違えた問題を復習する」
とさらに出たとします。

そのうえで、
「この3つなら、どれを一番優先したい?」
と順番を決めます。

生徒自身が選択肢を考え、自分で優先順位を決める。
だからこそ、
「先生に言われたからやる」ではなく、
「自分で決めたからやる」に近づいていきます。

もし行動が出なければ、第9記事で扱ったリクエストを使い、
「1つ僕から提案してもいい?」
と先生から選択肢を渡すこともできます。

結果目標を達成するための行動目標は、できるだけ3つ出してもらう意識をすることで、生徒の行動は止まりにくくなります。

「頑張る」を、5W1Hの質問で行動に変える

生徒が、
「単語を頑張ります」

と言ったとしても、まだ行動目標としては曖昧です。

そこで、具体化します。
具体化するためには、いわゆる5W1Hを使って、色々な質問をしていきます。

「いつからやる?」
「どこでやる?」
「何個やる?」
「何分くらいやる?」
「何が必要?」

と聞く。

例えば、
「毎日単語をやる」から、
「月曜日から、学校から帰ったあとに塾で、1日50個を20分やる」
に変える。

これなら、やる瞬間をイメージできます。

最後には、
「これができたら、さっき話した80点に近づけそう?」
と確認する。

行動と目標を一本の線でつなぎます。

目標設定で重要なのは、立派な目標をつくることではありません。

本人が、
「じゃあ明日これをやろう」
と思えるところまで具体的にすることです。

目標設定は「明日の一歩」まで決めて完成する

目標を決め、行動まで具体化した。

それでも、まだ終わりではありません。

最後に、
今日、あるいは明日できることを一つだけ決める
ことが大切です。

なぜなら、最初の一歩が踏み出せないことで、そのまま行動しなくなるケースが多いからです。

例えば、
「来週からワークを始める」ではなく、
「明日の学校帰りに、ワークの1ページ目を開く」まで決めます。

さらに、あえて『できない理由』を引き出します。
「もし明日できないとしたら、どんな理由がありそう?」
と先に聞きます。

「部活で疲れる」なら、
「帰ったらすぐに5分だけ勉強机に向かう」
と、事前に決められます。

そして、設定した目標は固定ではありません。

生徒の考えは変わります。
志望校も変わります。

やってみた結果、
「この計画は無理だった」と分かることもあります。

だから、こまめに進捗を確認し、必要に応じて目標も変える。

目標設定は、
「一度決めたものを守らせること」ではありません。

行動しながら、本人に合う形へ更新し続けることです。

教育コーチングにおける目標設定で大切なのは、
「何点を取るか」だけではありません。

その先に何があるのか。
そのために何をするのか。
明日は何をするのか。
できなかったら、どこを変えるのか。

ここまで一緒に考える。

そうして初めて、
目標が、生徒を動かすための言葉から、生徒自身が進むための道しるべに変わります。

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

沖津 亮佑のアバター 沖津 亮佑 合同会社ドドド 代表

合同会社ドドド代表 | 教育者・親・高校生にコーチングを提供 | 水戸市 大学受験専門塾 | オンライン 薬学部受験専門塾 | 全国の学習塾・学校でコーチング研修実施

目次