第13章:生徒のやる気が続かないのはなぜ?やる気を「上げる」より「保つ」教育コーチング

いつもご覧いただきありがとうございます。
コーチングですべての中高生に選択肢を与える会社、合同会社ドドド代表の沖津です。
学習塾経営をしながら、全国の学習塾の講師や学校の教員の方々を対象に、コーチング研修をしています。
やる気を上げることは大切ですが、それ以上にやる気を下げない関わりも大切です。なかなか他で聞くことのない、やる気を保つ方法を紹介します。
この記事で分かること
・やる気を上げることと保つことの違い
・やる気が下がる3つの原因
・やらない理由を先に出す関わり
・やる気が下がりにくくなる環境の作り方
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「昨日まではやる気があったのに、今日は全然やっていない」
「面談では『頑張ります』と言っていたのに、次の週には元に戻っている」
「最初の数日は続くけど、そのあと止まってしまう」
教育現場では、こうしたことがよくあります。
先生からすると、
「せっかくやる気になったのに」
と思います。
でも、ここで大切なのは、
「もう一度やる気を上げなきゃ」
と考えることではありません。
やる気を上げるスキルと
やる気を保つスキル
を分けて考えます。
前回の記事では、生徒の状態を「拒否・不可能・願望・期待・可能」の5段階(モチベーションランク)で捉え、一段ずつ上げていく考え方を紹介しました。
今回は、そのやる気が下がらないようにするために、先生が何を見て、どう関わるべきかを紹介します。
「やる気を上げる」と「やる気を保つ」は違う

まず大切なのは、
「やる気を上げること」と、「やる気を維持すること」
を同じものとして考えないことです。
やる気が上がるときには1ランクずつでも、下がるときには一気に落ちることがあります。
そのため、
「どうやって上げるか」だけではなく、
「どうすれば下げずに済むか」を考える必要があります。
例えば、生徒が面談で、
「毎日英単語を50個やります」
と決めたとします。
その瞬間は、本人も本気です。
でも、次の日にできなかった。
さらに翌日もできなかった。
すると、
「やっぱり自分には無理だった」
と感じてしまうことがあります。
昨日までは「できそう」だったのに、一気に「できない」へ戻ってしまう。
だから、やる気を上げたあとには、
「下がる原因を先に潰しておく」ことが必要です。
やる気が下がってしまう原因は大きく3つです。
①一歩目の行動が踏み出せなかった
②やる気を上げる際に表面上の話しかできなかった
③外的要因に触れる
この3つについて、その原因とやる気を下げない方法についてみていきます。
一番危ないのは「最初の一歩が踏み出せないこと」

やる気が下がる大きな原因の1つが、
最初の行動ができなかったことです。
例えば、全く勉強をしていなかった生徒が、
「今日から毎日2時間勉強する」と決めたとします。
でも、初日に1時間しかできなかった。
本人が、
「失敗した」と捉える。
そして、
「どうせ続かない」となる。
ここで問題なのは、1時間勉強したことではありません。
最初に設定したハードルが高すぎたことです。
だから、生徒が行動を決めたとき、
「本当に明日できそう?」と確認することが大切です。
2時間ではなく30分から始めていれば?
英単語50個ではなく10個から始めていれば?
週7日ではなく、まず3日から始めていれば?
最初の一歩を小さくする。
一度できれば、
「できた」という感覚が生まれます。
その成功体験が、次の行動につながります。
表面上の「やります」に安心しない

生徒が、
「頑張ります」
「できます」
「やります」
と言ってくれると、先生は安心します。
でも、本当にそう思っているとは限りません。
そう言わないといけない状況を作ってしまっているかもしれません。
その場合、
モチベーションランクを一度に2ランク以上上げようとしているか、
生徒が本音を言えていない可能性があります。
例えば、
「これ毎日できそう?」
「はい」
だけで終わらせない。
「本当に?」
と詰める必要もありません。
代わりに、
「10段階でいうと、どのくらいできそう?」と聞く。
「6くらいです」と答えたら、
「残りの4は何が不安?」と聞いてみる。
すると、
「部活が遅い日は無理かもしれません」
と本音が出るかもしれません。
ここで初めて、現実的な計画に修正できます。
生徒の「できます」を信じることと、確認しないことは違います。
安心して本音を話せる状態をつくったうえで、
本当にできそうなのかを一緒に確認します。
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あえて「やらない理由」を先に出す

モチベーションを保つために、少し変わった関わり方があります。
それが、
「やらない理由を先に出す」ことです。
「可能」のランクにいる生徒に対して、
「絶対あり得ないと思うけど、万が一やらないことがあるとしたら、どんな言い訳しそう?」
「もしやらない自分がいるとしたら、どんな理由がありそう?」
というような質問です。
例えば、
「毎日学校帰りに塾で1時間勉強する」と決めた生徒に、
「いいね。学校帰りに塾に来れない日があるとしたら、どんな日があると思う?」
と聞きます。
すると、
「部活で疲れた日」
「雨の日」
「友達と帰る日」
などが出てきます。
ここで、
「じゃあ雨の日はどうする?」と考えておく。
「家で30分やる」でもいい。
「その日は休んで、翌日に振り替える」でもいい。
行動できなくなる理由を事前に知っておけば、その対策も先に決められます。
これは、生徒を疑っているわけではありません。
未来の失敗を責める前に、失敗しそうなポイントを一緒に探しているのです。
そうすることで生徒は、「やっぱりできなかった」と感じることはなくなります。
モチベーションは「こまめに確認する」

一度、「やる気になった」
からといって、その状態がずっと続くとは限りません。
だから、モチベーションランクはこまめに確認します。
例えば、
「絶対できる!という状態を100としたら、今どのくらい?」
「昨日と今日なら、どっちの方がモチベーションが高い?」
といった質問で確認することができます。
この確認はとても大切です。
なぜなら、
「下がってから立て直す」より、
「下がり始めたときに気づく」方が支援しやすいからです。
例えば、先週は80だった生徒が、
「今日は60です」と言う。
その時点、
「何があった?」と聞けます。
「模試の結果が悪かった」
「親に無理じゃないかって言われた」
「学校で友達に何か言われた」
など、理由が分かれば、対話できます。
モチベーションランクは、先生から見た印象だけで判断しない。
本人にも聞く。
これを習慣にしていくことで、やる気が下がりにくい環境を作ることができます。
生徒のやる気は、塾の中だけでは守れない

先生がどれだけ良い面談をしても、塾を出たあとにモチベーションが下がることがあります。
その原が、外的要因です。
外的要因とは、保護者、友達、学校の先生など、生徒と塾の先生以外の存在です。
せっかく「できるかも」と思えた生徒が、
家で親に、「あなたには無理」と言われる。
帰り道で友達に、「俺らじゃ無理でしょ」と言われる。
学校で先生に、「またできなかったの?」と言われる。
こうした言葉によって、モチベーションランクが一気に下がることがあります。
だから、必要に応じて保護者とも情報を共有します。
「最近、本人が少し前向きになっています」
「今はこの行動を始めようとしているので、結果よりもまず続けられたことを見てほしいです」
と伝える。
生徒の周りの大人全員に伝えることは難しくても、伝えられる人から伝え、周囲の理解と協力を得ることが必要です。
生徒のやる気は、塾だけで守るものではありません。
環境全体で守る視点も必要です。
「また上げる」より「下がりにくくする」

生徒のやる気が下がるたびに、
先生が励える。
また上げる。
また下がる。
また励える。
この繰り返しでは、先生も生徒も疲れてしまいます。
だからこそ、
「どうやって毎回やる気を上げるか」ではなく、
「なぜ下がったのか」を見る。
最初の行動が大きすぎなかったか。
本当はできると思っていなかったのではないか。
やらない理由を事前に整理できていたか。
昨日より気持ちが下がっていないか。
周囲の人の言葉に影響されていないか。
こうしたポイントを確認します。
教育コーチングにおけるサポートは、
「常にやる気満々の生徒をつくること」
ではありません。
気持ちが揺れることを前提に、
下がりそうなときに気づき、
下がっても戻れる状態をつくることです。
生徒が一歩踏み出せたら、その一歩を続けられるようにする。
「できそう」を、やってみた」に変える。
そして、「やってみた」を、「続けられた」に変えていく。
そこまでサポートして初めて、やる気が本当の行動につながっていきます。
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