第8章:オンライン授業のコーチングスキル | 教育コーチングで意識したい6つのポイント

いつもご覧いただきありがとうございます。
コーチングですべての中高生に選択肢を与える会社、合同会社ドドド代表の沖津です。
学習塾経営をしながら、全国の学習塾の講師や学校の教員の方々を対象に、コーチング研修をしています。
オンラインでももちろん、教育コーチングのスキルは大切です。弊社でも、オンライン塾での教育コーチング研修を行っています。今回は、オンライン指導で特に意識したいことについて紹介します。
この記事で分かること
・オンラインとオフラインの違い
・オンラインにおける相づちの代わり
・カメラとの距離感に気を付ける
・オンラインだからこそできるコーチング
※強引な勧誘は一切ございません
オンラインで生徒と話していると、
「対面より反応が分かりにくい」
「ちゃんと話を聴けている感じがしない」
「会話のテンポが合わない」
と感じる先生もいるかもしれません。
タイミングが取れずに、生徒が話し始めた瞬間に、先生も話してしまったり、
「うん、うん」と相づちを打っていたら、生徒の声と重なってしまったり、
画面越しでは表情が読み取りにくく、「本当はどう感じているんだろう」と思ったり。
こうした経験から、
「やっぱりコーチングは対面の方がいい」
と思う人もいるかもしれません。
でも、僕はそうは思っていません。
たしかに、オンラインにはオンラインの難しさがあります。
一方で、その特徴を理解して関わり方を少し変えるだけで、オンラインでも十分に生徒との信頼関係を築くことはできます。
むしろ、生徒によってはオンラインの方が話しやすくなることさえあります。
大切なのは、
「対面でやっていたことを、そのまま画面越しでやる」
ことではありません。
オンラインという環境に合わせて、教育コーチングの伝え方を変えることです。
オンラインとオフラインは「どちらが優れているか」ではない

オンライン指導とオフライン指導を比較するとき、
「どちらの方が効果が高いのか」
という話になりがちです。
実際に僕も、よく聞かれる質問です。
でも、教育コーチングという視点では、僕は単純に優劣をつける必要はないと思っています。
対面には、対面だからこそ分かる情報があります。
教室へ入ってきたときの歩き方。
椅子への座り方。
机との距離。
普段より元気があるのか、少し疲れているのか。
話していない時間にも、多くの情報を受け取れます。
一方で、オンラインには別の良さがあります。
自宅という慣れた環境で話せる。
移動する必要がない。
場所に関係なく面談できる。
先生と二人で話す空間を作りやすい。
人によっては、真正面で対面するより、画面越しの方が話しやすいこともあります。
つまり、大切なのは、
「オンラインだからできない」
「対面だから優れている」
と決めつけることではありません。
それぞれの環境に合わせて、先生側が関わり方を変えられるかどうかです。
オンラインでは「通信環境」も指導の一部になる

オンライン指導では、先生と生徒の間に必ず機械が入ります。
パソコン。
タブレット。
スマートフォン。
インターネット回線。
マイク。
カメラ。
これらのどこかに問題があるだけで、対話の質は下がります。
例えば、生徒が大事なことを話している最中に、
「……学校で……ちょっと……あって……」
と音声が途切れたとします。
先生が、
「ごめん、聞こえなかった。もう一回言って」
と聞き返す。
生徒は、もう一度話す。
でも、本音を話そうとしていた生徒にとっては、その一度の中断だけでも気持ちが切れてしまうことがあります。
特に、
「実は最近、学校に行くのがちょっと嫌で……」
というような話だったらどうでしょうか。
同じ言葉をもう一度言うこと自体が、負担になる可能性があります。
だからオンラインでは、
通信環境を、
「授業が始まれば何とかなるもの」
と考えないことが大切です。
つまり、事前に音声を毎回確認する。
映像が安定しているか確認する。
必要であればイヤホンを使うし、生徒にもイヤホンの使用を推奨する。
通信が不安定になったときの対応も決めておく。
こうした準備も、生徒が安心して話せる環境をつくる教育コーチングの一部です。
前回は問題なかったから、今回も大丈夫だろうと考えるのではなく、
指導の度に確認すること、可能であれば、1回の指導で2~3回の確認をすることがおすすめです。
オンラインでは「少し待つ」がさらに重要になる

第5記事の傾聴でも、
「生徒が話し始めるまで待つ」
ことの大切さについて紹介しました。
オンラインでは、この「待つ」がさらに重要になります。
なぜなら、オンラインにはわずかなタイムラグが必ず発生するからです。
例えば、
「今回のテスト、自分ではどうだった?」
と聞く。
生徒が、
「うーん……」
と考える。
先生からすると、
「答えに困っているのかな?」
と思います。
そこで、
「数学はできた?」
と先生が続けてしまう。
その瞬間、生徒が、
「自分では英語が……」
と話し始める。
2人の声が重なります。
先生が、
「あ、ごめん。どうぞ」
生徒も、
「あ、先生どうぞ」
となる。
一度なら問題ないかもしれません。
でも、これが何度も続くと、会話のリズムが崩れていきます。
オンラインでは、対面よりも意識的にワンテンポ待つ。
生徒が話し終わったと思っても、すぐに次の言葉を出さない。
ほんの少し間を置く。
それだけで、話し出しが重なる回数は減ります。
沈黙を埋めることより、生徒が考える時間を守る。
オンラインでは、この意識が特に大切です。
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相づちを減らして「頷き」を増やす

傾聴では、相づちはとても大切です。
「うん」
「そうなんだ」
「なるほど」
「へえ」
と返すことで、
「ちゃんと聴いています」
ということを相手へ伝えられます。
ただ、オンラインで対面と同じ頻度の相づちを入れると、問題が起こることがあります。
通信のわずかなタイムラグが必ず発生するので、
自分が話すたびに、
「うん」
「うん」
「なるほど」
と先生の声が重なって聞こえることがあるからです。
先生としては傾聴しているつもりなのに、生徒からすると、
「話を遮られている」
ように感じる可能性があります。
そこで、オンラインでは言葉による相づちを少し減らします。
その代わりに使うのが「頷き」です。
浅く1回頷く。
深く頷く。
何度か続けて頷く。
表情を変える。
少し笑顔になる。
画面越しだからこそ、言葉ではなく
視覚で、「聴いているよ」
と伝えます。
もちろん、まったく相づちをしないわけではありません。
「うん」「へぇー」「はい」
のような短い相づちを複数回するんではなく、
「そうだったんだね」「そっか、それは大変だったね」などと、しっかりした言葉による相づちを数回行います。
言葉と頷きを使い分ける。
オンラインの傾聴では、このバランスが重要です。
カメラとの距離にも「パーソナルスペース」がある

対面で話すとき、
先生の顔が生徒の顔から20センチのところにあったら、かなり話しづらいと思います。
でもオンラインでは、意外と同じことが起きています。
カメラに顔を近づけすぎると、画面いっぱいに先生の顔が映ります。
先生からすると、
「見やすいように」
「ちゃんと聞こえるように」
と思って近づいているだけかもしれません。
でも、生徒からすると心理的な距離が近すぎることがあります。
オンラインにも、パーソナルスペースがあります。
パーソナルスペースとは、他人が自分に近づいた時に、不快だと感じる心理的空間のこと。
オンラインだと、カメラと顔の距離感が、パーソナルスペースを表しています。
画面の中に、
顔だけではなく上半身まで自然に映る。
手の動きも少し見える。
背景にも適度な余白がある。
そのくらいの距離感の方が、自然な会話になりやすくなります。
特に、初対面の生徒との面談では、
「自分は画面にどのように映っているのか」
を一度確認してみるといいと思います。
教育コーチングでは、生徒が何を話すかだけではなく、
「話しやすい環境をどうつくるか」
も大切です。
画面の中の距離感も、その1つです。
オンラインでは「ゆっくり・短く」話す

対面では、先生の声が多少早くても、
表情や身振り、空気感から内容を補うことができます。
しかし、オンラインでは情報量が少なくなります。
さらに、通信状況によって一部の音声が聞き取りにくくなることもあります。
だから、オンラインでは、
「少しゆっくり話す」
「一文を短くする」
ことを意識します。
例えば、
「じゃあ今回は数学が思ったより良くて英語が悪かったって話だったけど、次のテストに向けて英語をどういうふうに変えていったらいいと思う?」
と一気に聞くのではなく、
「今回は数学が良かったんだね」
一度区切る。
「英語はどうだった?」
生徒が答える。
「じゃあ次のテストに向けて、英語で変えたいことはある?」
と進める。
一度に受け取る情報を少なくすることで、生徒も考えやすくなります。
オンンラインだから特別な質問が必要なのではありません。
オンラインだからこそ、基本的な対話をより丁寧に行う必要があります。
オンラインほど「雑談」を削らない

オンライン授業になると、Zoomに入室する。
「こんにちは」すぐに授業を始める。
授業が終わる。
「ありがとうございました」退出する。
という流れになりやすくなります。
とても効率的です。
でも、教育コーチングという視点では、この効率の良さがデメリットになることがあります。
対面の塾なら、生徒が教室へ入ってきたときに、
「今日暑かったね」
「部活どうだった?」
と自然と勉強以外の話をすると思います。
授業が終わったあとにも、
「今日このあと何するの?」
「明日学校何時間?」
と自然な会話があります。
対面の場合、こうした時間は、授業時間外にも多く発生しますね。
それは、授業以外の時間にも、生徒がその空間に存在するからです。
一方でオンラインでは、授業の時間しか、オンライン上の同じ空間にいないため、この偶然生まれるコミュニケーションが少なくなります。
だからこそ、対面よりも、意図的に作ります。
「こんにちは。今日学校どうだった?」
「なんかちょっと疲れてる?」
「今日部活あったの?」
授業開始直後に必ず雑談の時間を多めの取る。
すると、
「今日体育祭の練習があって、めちゃくちゃ疲れました」
という話が出るかもしれません。
その情報があれば、
「今日はいつもより疲れているんだな」
と理解したうえで授業を進められます。
もしかすると、そこから学校での悩みが出てくることもあります。
教育コーチングにおける雑談は、単なる時間つぶしではありません。
生徒さんが、話すスイッチをオンにするための時間。
そして、生徒さんとの信頼関係構築のための時間。
さらに、生徒さんが安心して話せる環境づくりの一環です。
画面越しだからこそ、反応は少し大きくする

オンラインでは、先生が思っている以上にリアクションが伝わりにくいことがあります。
例えば、生徒が、
「今回、英語10点上がりました」
と言ったとします。
先生は笑顔で、
「おお、いいね」
と返している。
でも、小さな画面越しでは、その表情の変化が十分に伝わっていないかもしれません。
対面なら自然に伝わる反応も、オンラインでは少し意識して表現した方が伝わりやすくなります。
笑顔なら、少し分かりやすく。
頷くなら、少し深く。
驚いたなら、表情にも出す。
ただし、大げさに演技をするという意味ではありません。
画面越しで少なくなる情報を、少し補うイメージです。
声のトーンや表情によって、
本当に認めているのか、
ただ言葉を読んでいるだけなのかは変わります。
オンラインだからこそ、非言語のコミュニケーションを意識します。
オンラインでも「同じ人間と話している」

オンライン指導が難しくなる原因の1つは、
画面を見すぎてしまうことです。
通信。
カメラ。
マイク。
画面共有。
チャット。
オンラインでは、気にするものがたくさんあります。
でも、その向こう側にいるのは、対面のときと同じ1人の生徒です。
嬉しいことがあれば話したい。
失敗したことは言いづらい。
先生に否定されたくない。
自分のことを分かってほしい。
そうした気持ちは、オンラインでも変わりません。
だからこそ、教育コーチングの本質も変わりません。
話を聴く。
今の状態を認める。
質問によって考えてもらう。
本人の言葉を待つ。
ただ、その届け方をオンラインに合わせて変えるだけです。
「オンラインだからできない」ではなく「どうすれば伝わるか」を考える

オンラインでは、できなくなることがあります。
教室へ入ってきた瞬間の様子は見えません。
全身の細かな仕草も分かりにくくなります。
声が重なることもあります。
通信トラブルもあります。
だから、
「対面とまったく同じようにやろう」
とすれば、うまくいかないことがあります。
でも、それはオンライン教育コーチングができないという意味ではありません。
見えない情報があるなら、質問する。
相づちが重なるなら、頷きを増やす。
距離が近く感じるなら、カメラから少し離れる。
伝わりづらいなら、ゆっくり短く話す。
コミュニケーションが減るなら、授業開始前に意図的に時間をつくる。
1つひとつ調整すればいいのです。
僕は、教育コーチングで大切なのは、
「この方法を使えば正解」
というテクニックではなく、
「今、この生徒にどうすれば伝わるか」
を考え続けることだと思っています。
対面だからこそできる関わりがあります。
オンラインだからこそできる関わりもあります。
どちらか一方を正解にするのではなく、それぞれの特徴を理解して使い分ける。
そして、どんな環境であっても、
「この先生には話しても大丈夫」
と思ってもらえる関係をつくる。
それが、オンラインでもオフラインでも変わらない、教育コーチングの土台です。
※強引な勧誘は一切ございません
