第3章:コーチングが逆効果になることもある?教育コーチングが生きる3つの条件

いつもご覧いただきありがとうございます。
コーチングですべての中高生に選択肢を与える会社、合同会社ドドド代表の沖津です。
学習塾経営をしながら、全国の学習塾の講師や学校の教員の方々を対象に、コーチング研修をしています。
第1章、第2章では、コーチングの活用方法、コーチングによる良い影響について紹介していきました。しかし今回は、コーチングが逆効果になる場合を紹介します。

この記事で分かること
・やる気のない生徒はいない
・知識のない生徒にはコーチングは無効
・小学生の10人に1人はうつ病
・コーチングを使ってはいけない場合の見極め方

「コーチングを学んだので、さっそく生徒に質問してみよう」
「先生が答えを教えるのではなく、生徒自身に考えてもらおう」

教育コーチングを学び始めると、これまで先生が答えを伝えていた場面でも、できるだけ生徒に考えてもらいたくなります。

僕自身も、コーチングを学び始めた頃は、
「質問すれば、生徒の中から答えを引き出せる」
という感覚を強く持っていました。

しかし、教育現場で実践していくと、コーチングがうまく機能する場面と、そうではない場面があることに気づきます。

生徒に質問をしても、
「分かりません」
「別に何でもいいです」
「先生が決めてください」
としか返ってこない。

そんな経験をしたことがある先生もいるのではないでしょうか。

これは、必ずしも質問の仕方が悪いからではありません。

そもそも、その生徒が今「コーチングを受けられる状態」ではない可能性があります。

合同会社ドドドの研修では、教育コーチングはどのような生徒にも、どのような状況にも無条件で使えるものではないと考えています。

無理にコーチングを使おうとすると、かえって生徒のモチベーションを下げてしまったり、求めていたものとは逆の結果につながったりすることがあります。

大切なのは、コーチングを使うことそのものではありません。

「今、この生徒にコーチングが必要なのか」
を判断することです。

目次

条件1 生徒が「学ぶ姿勢」にある

教育コーチングが生きる1つ目の条件は、生徒が学ぶ姿勢にあることです。

ここでいう「学ぶ姿勢」とは、
「勉強をやる気満々である」という意味ではありません。

勉強に対して、ちょっとでも気持ちが向いていれば問題ありません。

やる気というのは必ず誰しもが持っています。

やる気の方向が、人によって違うだけなんです。

例えば、勉強にはまったく集中できないように見える生徒でも、好きなゲームなら何時間でも取り組めるかもしれません。
漫画についてなら、驚くほど詳しく話せるかもしれません。
部活動なら、毎日疲れていても練習へ向かうかもしれません。

つまり、やる気そのものが存在しないわけではありません。

今、そのエネルギーが勉強に向いていないだけです。

教育コーチングでは、そのエネルギーを少しずつ学習へ向けていきます。

だからこそ、最初から勉強に100%のやる気がある必要はありません。

勉強に対するやる気が0%ではなく、1%でもあるなら、そこからコーチングによって引き出していくことができます。

例えば、

という生徒がいたとします。

そこで、

と聞いても、

で終わってしまう可能性が高いです。

しかし、

と聞くと、

という言葉が出てくるかもしれません。

これも立派な入口です。

と進めていくことができます。

コーチングは、最初から高いモチベーションを持つ生徒だけのものではありません。

小さくても本人の中にある「こうしたい」を見つけ、そこから動き始めてもらうためのものです。

「やる気がない」と決めつけない

先生が注意したいのは、
「あの子はやる気がない」
というラベルを貼ってしまうことです。

先生がそう思って生徒を見るようになると、
「どうせ言ってもやらない」
「この子には無理だろう」
という関わりになりやすくなります。

しかし、生徒の状態は常に一定ではありません。

昨日はまったく話したくなかったとしても、今日は話せるかもしれません。

学校で嫌なことがあった日と、模試で良い結果が出た日では、同じ質問をしても返ってくる答えは変わります。

「この生徒はやる気がない」
ではなく、
「今は、勉強にやる気を向けられていない状態なのかもしれない」
と捉える。

この違いは、とても大きいです。

教育コーチングでは、生徒を固定された存在として見るのではなく、
「ここから変わる可能性がある」
という前提で関わります。

この、「やる気のない生徒はいない、やる気の方向が違うだけだ」という内容をSNSで投稿したことがあります。

数日後、僕のSNSをフォローしてくれていたある塾の方から、こんなメッセージが届きました。

「沖津さんの投稿を拝見し、最近やる気がないなと感じていた生徒に、やる気の方向がどこに向いているのかを聞いてみました。
そしたら生徒は、今はほぼ100%部活に向いている。と答えてくれました。
そして私から聞いていないのに、勉強もやらないといけないのは分かってるけど、あまり気持ちが乗らなかった。と話してくれました。
私が、10%だけ勉強に気持ちを向けるとしたら何する?と聞いたら、生徒は自分がやるべきことをたくさん話しだしました。
この生徒がこんなに自分の勉強に前向きになったのは初めてでした。
子どものやる気って面白いですね。どうしても感謝をお伝えしたくてメッセージさせていただきました。本当にありがとうございました。」

メッセージをいただいた方とはお会いしたことがなく、コーチングを学んだことがあるのかすら分かりませんが、
僕の投稿を通じて、遠く離れた塾の生徒さんに、間接的に影響を与えられたということがとても嬉しかったです。

ぜひ皆さんも、自塾の生徒さんのやる気の方向を尋ねてみてください。

条件2 生徒の中に「考える材料」がある

2つ目の条件は、そのテーマについて生徒に知識があることです。

コーチングでは、質問によって相手の中にある考えを引き出していきます。

しかし、そもそも相手の中に材料がなければ、どれだけ良い質問をしても答えは出てきません。

これは教育現場では特に重要です。

例えば、中学2年生の生徒に、

と聞いたとします。

その生徒が近隣の高校について、
学校名も、
偏差値も、
部活動も、
校風も、
ほとんど知らなかったとしたら、どうでしょうか。

となるのは当然です。

さらに、

と質問を続けても、考えるための材料そのものがありません。

この場合、先に行うべきなのはコーチングではありません。
情報提供です。

まず高校について教える。
あるいは、自分で調べてもらう。

そのうえで、

とコーチングへ移っていきます。

質問すれば何でも出てくるわけではない

これは進路だけではありません。

例えば、生徒に、

と聞いたとします。

生徒が自分の弱点や勉強方法を理解していれば、

と答えられるかもしれません

一方で、そもそも、
「自分が何を分かっていないのか分からない」
状態なら、質問だけでは進みません。

そこで先生が、

と情報を渡す。

その後で、

と聞けば、生徒自身が考えられるようになります。

教育コーチングは、
「先生は何も教えてはいけない」
という指導ではありません。

生徒が考えるために必要な材料を持っていないなら、まず先生として渡す。

考えられる状態になったところで、コーチとして引き出す。

この順番が大切です。

条件3 生徒の心の状態を見極める

3つ目は、生徒の心理状態に配慮することです。

これはとても重要なポイントです。

現代は、小学生の10人に1人がうつ病だと言われています。(隠れうつの症状も含む)

一般的には、年齢が上がるとこの症状は和らぐことが多く、中学生、高校生になると、うつ病の割合は減っていく傾向になります。

このような症状の生徒にはコーチングを提供してはいけません。

コーチングは、医療行為や治療ではありません。

例えば、生徒の気持ちが滅入っているときに、

と次々に質問しても、考えること自体が負担になってしまう可能性が高いです。

そんなときに必要なのは、
「答えを引き出すこと」
ではないかもしれません。

まず話を聴く。

必要以上に行動を求めない。

場合によっては保護者と情報を共有し、専門的な支援につなげる。

教育者として、自分の役割の範囲を理解することも大切です。

コーチングスキルを持っているからといって、すべてをコーチングで解決しようとしない。

それも、教育コーチングを正しく使うために必要な姿勢です。

「質問すること」が目的になってはいけない

コーチングを学ぶと、どうしても質問を増やしたくなります。

先生が説明するより、生徒に考えてもらいたい。
自分で答えを出してほしい。

その考え自体は、とても大切です。

しかし、
「コーチングを使う」ことが目的になってしまうと、生徒の状態が見えなくなることがあります。

今この生徒には、考えてもらう方がいいのか。
それとも、まず情報を渡した方がいいのか。
今は質問するべきなのか。
それとも、ただ話を聴いた方がいいのか。
あるいは、今日は学習面談そのものをしない方がいいのか。

先生が選ばなければなりません。

コーチングができる先生とは、
「いつでも上手な質問ができる先生」ではありません。

「今はコーチングをしない方がいい」と判断できる先生でもあると、僕は考えています。

コーチングができない状況なら、先にその状況を変える

教育コーチングが生きる3つの条件を整理すると、
生徒の中に、少しでも学ぼうとする気持ちがあること。
考えるために必要な知識や情報を持っていること。
そして、対話によって考えを整理できる心理状態にあることです。

もし、この条件が整っていないなら、
「この生徒にはコーチングが効かない」
で終わる必要はありません。

学ぶ気持ちが小さいなら、まずその気持ちを探す。
知識が足りないなら、先に教える。
今は考えることが難しい状態なら、無理に答えを求めない。

つまり、教育コーチングが生きる「状況をつくる」ことも、先生の役割です。

すべての生徒に、いつでも同じ方法で関わるのではなく、
今、この生徒に何が必要なのか」
を考える。

コーチングなのか。
ティーチングなのか。
傾聴なのか。
それとも、別の支援なのか。

その選択ができることが、教育コーチングを学ぶ大きな意味の1つです。

コーチングは万能ではありません。

だからこそ、正しく使ったときに大きな力を発揮します。

コーチングを使っても良いのかどうかの、使い分けの仕方を学べるのも、合同会社ドドドの教育コーチングです。

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この記事を書いた人

沖津 亮佑のアバター 沖津 亮佑 合同会社ドドド 代表

合同会社ドドド代表 | 教育者・親・高校生にコーチングを提供 | 水戸市 大学受験専門塾 | オンライン 薬学部受験専門塾 | 全国の学習塾・学校でコーチング研修実施 | フォローすると、地域最強の塾経営者になれます

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